北澤 繁太さんのレビュー

少年フィデル (TWJ books)
フィデル カストロ=ルス (フィデル カストロ=ルス) 評価4.0 点 平均(4.0)
  • 出版日:2007-10-24
  • 種類:単行本
  • ISBN:4862560105
読書タグ: フィデル・カストロ  キューバ革命  チェ・ゲバラ 

評価4.0 点 (4.0)

投稿日 2017-01-12 06:50:24

【最後の共産主義者】

そのプライベートを語ることは避けてきたフィデル・カストロが、幼少期や青年時代について語る自伝的な描写を集めたもの。カトリック系名門校での教育、政治活動に参加する動機となった宗教の影響などを語っている。

はっきり言って、読んで面白いものではなかった。しかしながら、フィデル・カストロが自身の言葉で自らの形成期に焦点を当て、少年フィデル、若き反逆者フィデルを眺めた本書は、貴重な一冊であることは理解できる。

武装勢力を組織し、一九五三年にモンカダ兵営襲撃を計画して失敗。投獄された際に監獄から送り続けた手紙も収録されている。その後メキシコに亡命して、一九五六年にチェ・ゲバラとともに再びキューバ上陸を果たす。

この回顧録はフィデル・カストロが釈放されるまでを扱ったものであり、残念ながらチェ・ゲバラは出てこないものの、編者解説にはチェ・ゲバラの言葉が引用されており、二人の絆がどれほど深いものだったかがわかる。

「フィデルと一晩中話した。日が昇るまでには彼の遠征軍で主治医になることになっていたよ。実際、グワテマラでフィナーレを飾るラテンアメリカをめぐる長旅を経験して、暴君に対する革命に参加するのにだれかからの説得は必要なかった。だけど、フィデルの桁はずれの人間性には驚かされた。彼は多くの問題に取り組み、不可能を可能にしてきた。並はずれた信念をもち、キューバに旅立てば必ずたどりつくだろうし、たどりつけば必ず戦うだろう。そして、戦えば必ず勝つと信じている。私は彼の楽天的な考えを共有することになった」

同じ出版社で、フィデル・カストロによる『チェ・ゲバラの記憶』という本もある。続編を心待ちにしている、海堂尊がゲバラの生涯を描く長編四部作の予習として読んでおきたい。そこで描かれるフィデルもまた楽しみ。

「だって地図やら顕微鏡、望遠鏡などなくても、階級分化は見えますからね。」

貪欲な読書家だったというフィデル・カストロが、キューバの歴史を考え、民族の性格と性質を見つめ直し、マルクス主義に傾聴し、いかにして「最後の共産主義者」となったか。それまでの経過が見て取れる一冊だった。

北澤 繁太さんの読書タグ: キューバ革命  チェ・ゲバラ  フィデル・カストロ 

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