がらくたさんのレビュー

水の女 (講談社文芸文庫)
中上 健次 (中上 健次) 評価5.0 点 平均(5.0)
  • 出版日:2010-07-09
  • 種類:文庫
  • ISBN:4062900939
読書タグ: 社会  小説  娯楽 

評価5.0 点 (5.0)

投稿日 2017-04-21 12:30:31

『赫髪』
 土方の男がバス停で声を掛けた女との二人暮らしを描いた物語。

 官能小説というものを読んだことが無いのですが、非常にエロい。官能という言葉よりもドスケベ、ドエロいという言葉の方がシックリきました。内容のほとんどが二人の性描写。熱く興奮を覚えさせずにはいられない程営みの描写が細かく、想像したらもう身体が本能的にとても熱くなった。
 物語の背景が片田舎の寂しく冴えない風景と旨くマッチしていてリアリティーを感じる。
 インパクトの強い作品。自分は大好きです。

『水の女』
 馬喰やら博打で暮らす男と、蓮っ葉な女、そして取り巻きの野郎どもの物語。

 とにかくエロい、どスケベです。性行為の描写が大胆且つ繊細でムラムラする。
 フェラチオの描写、女陰に性器を深くぶち込んで強く犬のように腰を打ちつけ射精に至る過程。心も体も発熱し痺れそうで、興奮と陶酔にやられました。見事な性描写に脱帽。
潮がふき、浜でして、夜這いもあり。
 性描写が激しくそこだけを楽しむのも良いかもしれませんが、汗臭い男達の生きる姿にリアリティーを感じその相乗効果にバランスの良さを感じました。

『かげろう』
 女と出会ってからろくに働きもせず、その日暮らしをしている男女の物語。

 どこか物寂しい憂いが漂う女に男は抗えずに性交を繰り返す日々。
 乳房を力いっぱい吸い、性器を女陰に深々と入れ尻に指を入れる。手練手管なSMティック描写もあり、著者の筆力に感心してしまった。シャブの単語も生々しい。
明るい未来を想像できない、遠くを見つめるような女の姿が印象に残った。

『鷹を飼う家』
土木一般、とびを請け負う男の妻シノを中心とした家族の物語。

主人公シノの態度がとにかくデカイ。夫に対しても義母に対しても義妹に対しても。仕方が無いような人生を海、川、雨、井戸水に浄化、溶かされていく生き様がどこか儚い。
高飛車な態度のシノが、ある日夫をけしかけマゾヒスティックな性交を行う描写がなんとも生々しく激しく印象に強く残る。
強く逞しいシノの姿に悲哀と凛々しさ、孤独を感じる配分が絶妙でビシッとくるエンディングが旨く機能していると感じました。

『鬼』
 女と男。男を性で弄ぶかのような女。飼い犬や牛などがユニークなように場面を作り、性の描写があるがどこかのどかな牧歌的な物語。

この作品だけ他の作品に比べあえて云うなら穏やかで、五編の短編を水平線を眺めるかのようにおおらかに畳めたような終わりに感じられた。


全てを読み終わり解説を読むと、いかに自分が表層的にしか読んでいないことを指摘される。
でも私のように刺激を楽しみながら読むのも悪くはないのでは、と考えたりもし大いに楽しめました。
読み直すとまた何か違う表情を感じ取れるのかもしれません。

いままで読書してきたなかでどこか歪さとバランスさも尖がり、突き抜けたものを持った読書体験で新鮮でした。

がらくたさんの読書タグ: 小説 

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