北澤 繁太さんのレビュー

九十歳。何がめでたい
佐藤愛子 (佐藤愛子) 評価4.0 点 平均(4.0)
  • 出版日:2016-08-01
  • 種類:単行本
  • ISBN:4093965374
読書タグ: エッセイ  佐藤愛子  視点 

評価4.0 点 (4.0)

投稿日 2017-06-19 12:10:20

【ユニークな視点で語る日常が楽しめる】

何気にまともなことを書いていますが、どうしてもうるせぇクソばばぁの戯言(失礼)に聞こえてしまう。ま、本人はわかってやってるんでしょうけどね。人にはそれぞれ役割というものがありますから。

クソばばぁのエッセイです。行間の随所に偏屈感がぷんぷん漂う。ただし、その偏屈感は決して気持ち良くないものではない。小気味良かったりするのです。伊達で九十年以上も生きているわけではない。

例えば、こんなの。東海道新幹線「のぞみ」の東京新大阪間の移動時間が三分短くなったことに対して、何がめでたいんじゃと(笑)それよりも開通以来事故が一度も起きていない方がめでたいんじゃと。

まぁ、確かにその通りですね。このくだりでのトドメはこちら。

「もう「進歩」はこのへんでいい。更に文明を進歩させる必要はない。進歩が必要だとしたら、それは人間の精神力である。」

クソばばぁ、容赦せん!まったくおっしゃる通りでございます。

もうひとつ、これは笑えました。サザエさんの放映三十五周年を記念して感想文を募ったところ「波平の子供を理解しようとしない古い父親像に理不藎さと不快感を覚える」というものがあったそうです。

「思わず私は、「おいおい、これはマンガだよ・・・・・・」といいたくなった。」

そりゃ、そうだ(笑)マンガは心の底から遠慮なく笑うためにあるのだ。いったいいつからマンガは人間を論評する場になったのだ?と。クソばばぁ、容赦せん!いやはや、おっしゃる通りでございます。

よほど腹に据えかねたのか、サザエさん話にはまだ続きがあります。なんとまぁ「成績は悪くてもカツオの生きる知恵の豊かさに感心した」という感想も寄せられたそうです。当然にスイッチが入ります。

「感心している場合か。ここは笑うところだ。なぜ笑わない! 笑わずに感心するとはマンガに対する侮辱ではないか! しっかりせぇ、と私は怒りたくなった。」

クソばばぁ、容赦せん!まったくおっしゃる通りでございます。

最後にもうひとつ。ほんと、世の中を見る視点が面白い。ここは学ぶべきところです。いや、クソばばぁ流に言えば笑うべきところ。振り込め詐欺を嘆かわしい・・・と首を振る視点に笑っちゃいました。

「現代を襲う物質的価値観はついにいたずら電話にまで及んだのか。情けなや、いたずら電話も「実利」を伴わなければやらないということになったのだ。」

そっち!?(笑)当節は無言電話やエロ電話の話題を耳にしない。かつての「もしもし、ボクネ、今、アソコ握ってるのよ」といったいたずら電話を娘とともに楽しんでいたあの頃を懐かしむクソばばぁ。

とまぁ、大変失礼なことに「クソばばぁ」を連発してしまいましたがこれも愛着あったればこそ。お許し下さい。ユニークな視点で語る日常が楽しめました。なかなか素敵なおばあさまであらせられます。

ちなみに義理の母から借りた一冊でございます。お義母さん、ありがとうございました!

北澤 繁太さんの読書タグ: 視点  エッセイ  佐藤愛子 

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